三重県伊賀市は、生活保護の申請を受け付ける厚生保護課と収税課の窓口などで、市民とのトラブル防止のため防犯カメラを設置する運用を始めた。設置の表示はしているが、専門家は「市役所が市民を一方的に管理する場所になってしまう」と指摘している。
同市が厚生保護課に初めてカメラ4台を設置したのは昨年11月。生活保護の申請相談を受け付ける面接室や、窓口、廊下などにあり、映像は課長席脇のモニターに映し出され、録音もする。面接室の場合、高さ約2メートル20センチの壁にあり、「防犯カメラ作動中」と掲示されている。
橋本浩三課長は「飲酒をして相談に来たり、威圧したりする事例が多かったが、設置後は減った」と話す。
収税課では4月、滞納した市税の納付方法をめぐり、男性が職員にこぶしを振り上げるしぐさを見せたため、警察に通報。ほかにも、徴税方法への不満から窓口付近から動こうとしない男性もいて、6月にカメラを設置した。
市の要綱では、記録の保管は14日以内。トラブルによっては保存したうえで捜査機関に提供することもあるとしているが、今のところ提供したケースはないという。
内保博仁市長は「多くのまじめな市民の映像を記録していることは好ましいとは言えないが、職員の身に危険が及ぶ可能性があると判断し、設置している」と話した。
ただ、厚生保護課の面接室で市民に立ち会ったことがある共産党市議は「カメラには気がつかなかった」と話す。19日には、同党伊賀市委員会など関係5団体などが「人権を侵しかねない」としてカメラの撤去などを求める要望書を内保市長に提出した。
著書「安心のファシズム」で監視カメラの問題を指摘しているジャーナリストの斎藤貴男さんは「生活保護の申請や収税という特定の場に防犯カメラを設置すれば、『権力による管理』という防犯カメラの性格が際だつ。複数の職員で対応したり、同意を得た上でやりとりを録音すれば対応できるのではないか」と話した。
朝日新聞
~アイピー総研編集部より~
以前タクシーに乗車した時に運転手さんに聞いたのだが「この時代ヤクザを乗せるより酔っ払ったサラリーマンを乗せる方が怖いし嫌だ」と。倫理や道徳はどこへいったのだろうか。防犯カメラはレンズをとおして社会の「悲しい部分」を写し出しているのかもしれませんね。
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